1000円で買ったものを失くすことと1000円札を失くすことの大きな違い
多くの人が②を選びます。
もう一度、思い出してみてください。
①上映直前に購入済みのチケットを紛失したことに気づく
②映画館に向かう途中、1000円を落としたことに気づく
①と②に共通する点は、『映画館に来たせいで1000円相当の損をした』ことです。
もし来なければ、どちらも発生していません。
しかし、多くの人は①よりも②の場合のほうが、高い確率でチケットを再購入します。
この錯覚を行動経済学ではフレーミング効果と呼びます。
①の場合、わざわざ購入したチケットを失っただけでなく、更に余計な出費をしてまで再購入することに人は強い抵抗を覚えます。
『チケットを2回買う』という2つの行動が、1つの「フレーム」に収まっている感覚を持つわけです。
一方②の場合、一見1000円を紛失したことと映画を観に来たことは無関係に感じられます。
チケットを1枚買うことと、1000円を紛失したことがそれぞれ別のフレームにはまっているわけです。
しかし、先ほど触れたように『映画館を見に来たせいで1000円を失った』という損害の大きさは、①と②で全く変わりません。
なので、2つの間でその後のチケットの購入率に大きな差が出るのは、本来は非合理的なことなのです。
参照
Framing Effect | Simply Psychology
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