あの、当てもなく口をパクパクさせている間抜けな姿に、一度は蔑みの念を感じたことがあることでしょう。
『少なくとも自分は、あんな間抜けな顔で街を歩いたりはしないよ』と。
しかし、奴らのパクパクの威力は、まさに泣く子も黙るレベルだというのをご存知でしょうか。
奴らは口の中に強力な歯を持っており、それがどれほどかと言うと、シジミやタニシなどの貝類を殻ごと噛み砕くほどです。
噛み砕かれた殻は、無惨にえらから吐き出されます。
日夜、あのパクパクに迂闊に近づいた生物たちが、還らぬ者となっているのです。