鉛筆の芯は「グラファイト」という原料で作られます。
グラファイトは「書く」を意味するギリシャ語です。
この物質は16世紀前半にイギリスで発見され、筆記用具として利用され始めました。
これが鉛筆の起源です。
しかし、グラファイトが筆記に適していると判明したのは、20世紀中頃です。
X線の技術の発達により、物質の原子構造を調べられるようになったからです。
つまり、約400年間、人は詳しい仕組みを知らずにグラファイトを筆記用具として使ってきました。
グラファイトは、炭素原子で出来た薄いシートが重なって構成されます。
このシート単体を「グラフェン」と呼びます。
グラフェンの炭素原子同士の結合はとても強いですが、グラフェン同士が重なり合う力は比較的弱いです。
なので、これを紙にこすりつけると、そのシートが剥がれて紙に付着します。
これは、鉛筆やシャープペンシルに使われる技術です。
この薄い物質を1枚だけ剥がすことは非常に難しいため、長年苦戦してきた人々がいました。
2004年、イギリスの物理学者のガイムとノヴォセロフは、初めてグラフェンの分離に成功しました。
それは、鉛筆の芯にセロハンテープを貼り剥がす方法でした。
この『グラファイトからグラフェンを取り出す方法』は高く評価され、2人はノーベル賞を受賞しました。
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