光は地球を1秒間で7周半するとされます。
光は止まったり引き返したりすることなく常に進んでいくと思われがちですが、実は必ずしもそうではありません。
光をガラスに照らしたとき、しばしば光の入射点と反射点は完全に一致する前提で語られます。
しかし、実際は入射点と反射点は少しだけずれているのです。
光を粒(光子)と考えた場合、光子は入射点では曲がれず、少し奥側へはみ出した後に反射します。
そのときはみ出した、伝播していかない光を近接場光と呼びます。
この近接場光は、さまざまな開発に応用されています。
最も有名なのが走査型近接場光学顕微鏡です。
この顕微鏡は、近接場光の発生点に試料を置くことで、より鮮明な試料の観察を可能にしました。
近接場光は試料に触れると散乱し、新たな光を放ちます。
その光を拾うことで試料そのものが光るため、従来の顕微鏡には不可能なほど鮮明な拡大映像も見られるようになりました。