心理・脳科学

『終わり良ければ全て良し』終わり以外にもう一つ必要なのは?

盛り上がりの「絶頂期」と終盤の「クライマックス」しか人の記憶には残らない?

これからどちらかを体験しなければいけないとしたら、あなたは次のうちどちらを選びますか。

①10kgのダンベルを60秒間持つ
②10kgのダンベルを60秒間持った後、軽い3kgのダンベルを30秒間持つ

②は①よりも30秒間も長く重さを感じなくてはいけません。

敢えてトレーニングしたい人以外は、①の楽な方を選ぶでしょう。

しかし、同じような質問に対し、②を選ぶ人が8割以上になるケースがあります。

行動経済学者のダニエル・カーネマンは、次の両方を経験してもらう実験をしました。

①水に両手を60秒浸す
②水に両手を60秒浸したあと、少し水温を上げた水に30秒浸す

その後、どちらの経験ならもう一度してもいいかを聞いたところ、②を選ぶ人が8割を超えたのです。

私たちは、これから起こるであろう未来のことついては、苦しみが少ない方を選ぼうとします。

しかし、実際に経験した後では、よりよい記憶が残っている方を選ぶ傾向があります。

『終わり良ければ全て良し』とはよく言ったもので、これは人間の『経験したことの最後に得た印象で記憶や物事の良し悪しを判断する』という習性を示唆しています。

また、出来事の良し悪しは、継続した時間に関係なく評価されます。

ある経験を振り返って楽しかった、とか辛かったなどと評価するとき、私たちは喜びや苦しみをもっとも強く感じた絶頂期(ピーク)と、最後の瞬間(エンド)によって判断します。

これをピーク・エンドの法則といいます。

一度経験したことについては、ピーク時と最後の印象が良い方を選び、一方、経験を予測するときは苦しみが少ない方を選びがちです。

つまり、経験の記憶とは、出来事の継続した時間には関係ないのです。

参考 What Is the Peak End Rule and How to Use It Smartly
Tama

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