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海岸線のパラドックス: 全然違っても全て正解?

世界各地のさまざまな機関が、海岸線の長さを計測します。

同じ地域の海岸線の長さを、異なる機関が計測する場合があります。

しかし、同じ場所でも、それぞれの記録が食い違うときがあります。

例えば、日本の海岸線の長さは、以下のように発表されています。

  • 日本の某機関によると、約36,000km
  • アメリカCIAによると、約29,000km

両者のデータは大きく違っています。

どちらが正しいのでしょうか。

実は、どちらも間違っていません。

なぜなら、計測に使う地図の縮尺によって、海岸線の長さは変化するからです。

海岸線を実際に人が歩いて計測すると仮定します。

そのためには、長さを測りたい海岸線を一定の歩幅で歩く必要があります。

その際、『歩幅×歩数=海岸線の長さ』という数式が成立します。

しかし、歩幅の小さな子どもが、海岸を隅々まで歩いた場合と、歩幅の大きな大人が迅速に歩いた場合では、前者の距離の方が長くなります。

問題はここにある。

人の小腸の内壁には、小さな「ひだ」が無数に存在します。

このひだにより、効率よく消化物から栄養素を吸収することが出来ます。

小腸の内側の表面積を測る際、ひだを全て計測した場合と、無視した場合とでは、答えは違うはずです。

しかし、どちらか一方だけを正解とすることは出来ません。

これは海岸線の場合も同じで、答えは縮尺次第です。

歩幅を小さくすればするほど詳細に測ることが出来るため、そのぶん距離は長くなります。

これが、アメリカと日本の測定結果が相違している原因です。

・参照
Wolfram MathWorld: Coastline Paradox

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