言葉がいかに不完全なツールかを示す事例【言語隠蔽効果 】

言葉の限界

言葉は私達の意思疎通のために必要不可欠です。

しかし、言葉はあなたが伝えたいことを狂わせる可能性があります。

「言語隠蔽効果」と呼ばれる現象は、人語の限界を示唆しています。

例えば、殺人などの事件が起きた時、警察は目撃者に犯人の外見について尋ねます。

もしあなたがその目撃者ならば、当時の記憶を想起して真剣に説明するでしょう。

そして、その情報をもとに、担当者は犯人の似顔絵を描きます。

しかし犯人が逮捕されたとき、その似顔絵と犯人の顔が全く似ていないことがしばしばあります。

なぜこのようなミスマッチが、そんなに頻繁に起こるのでしょうか?

  • あなたが犯人の容貌について説明した際、あまりにも気が動転していたからでしょうか?
  • 担当者の絵が壊滅的に下手だったからでしょうか?

おそらく、どちらでもありません。

この言語隠蔽効果と呼ばれる現象は、あなたが記憶を言語化した瞬間に発生します。

あなたが犯人の外見を十分に記憶しても、それを言葉だけで他者に伝えるのは簡単ではありません。

にも関わらず、それを無理に言語化すると、記憶自体が歪む可能性すらあります。

これは、言葉がいかに不完全かを示す最もわかりやすい事例です。

・参照
J-Stage: 言語隠蔽効果の生起メカニズムの検討

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