シマウマは白地に黒縞?黒地に白縞?

シマウマの体の模様

人はいつも『自分が正しい』と思いがちです。

『いいや、そんなことはない、自分は自分の間違いを素直に認められる人間だ』と、そう思う気持ちもわかります。

しかし、そういうふうに自分を評価することは本当に正しいことなのでしょうか?

あなたが謙虚に自分の間違いを認められたとして、ではそれが本当に間違いだという根拠は自分以外のどこにあるのでしょうか。

そう、人はどこまでいっても自分中心で、それは避けられないことなのです。

突然ですが、シマウマの体の模様を想像してみてください。

それは『白地に黒い縞模様』でしょうか?
それとも『黒地に白い縞模様』でしょうか?

おそらく日本人のあなたは『白地に黒い縞模様』を選んだのではないでしょうか?

ちなみに黒人に同じ質問をすると、多くの人は『黒字に白い縞模様』と答えます。

シマウマの模様は世界共通ですから、どちらも正解です。

しかし、私達はこのように、自分が気づかない常識や前提に縛られて物事を判断しています。

それらの固定観念は、国や文化によってあっさりと崩れ去ります。

あの太宰治の人間失格の中に、以下のような一節があります。

そんな事をすると、世間からひどいめに逢うぞ
世間じゃない。あなたでしょう?
いまに世間から葬られる
世間じゃない。
葬むるのは、あなたでしょう?

参照:「人間失格」太宰治 – 青空文庫

ここでは人の主張や義理というものがいかに感情に基づいたもので儚いかということが、主人公の鋭い洞察とともに表わされています。

多くの場合、正誤や正義は、それを判断する人の好き嫌いに帰着します。

世界には『動物を食べるのは良くない』という思想を持っている人がいますが、そういう人であっても、野菜などの植物は食べているはずです。

あらゆる二者択一の判断の正誤は、人や立場によりあっさりと反転します。

にも関わらず、人はどうしても自分の考えが他者からも優先されるべきだと錯覚してしまいます。

この勘違いを、行動経済学では過信効果と呼びます。

参照
Overconfidence (effect) | BehavioralEconomics.com

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