多くの人が褒められて伸びる理由!期待されることの侮れない大切さ
期待されることの大切さ
とあるマウスの実験を紹介します。
とある研究室の教諭が、生徒たちに2匹のマウスを渡しました。
そのとき、教諭は『片方のマウスの血統はとても優秀ですが、もう片方はごく普通の個体です』と生徒たちに前置きしました。
しかし、これは嘘で、本当はどちらも同レベルの個体なのです。
そのことを知らないまま、生徒たちは様々な実験を通してマウスを観察し、結果を報告することになりました。
そう、本当の実験対象はマウスではなく、生徒たちなのです。
つまり、実験を行っているのは、生徒ではなく教諭だということです。
なんだか人を騙しているようで少し気が引けますが、とても興味深い結果が出ています。
なんと生徒たちは、優秀だと言われたほうのマウスが本当に優れていることを裏付けるデータをたくさん集めてきたのです。
生徒たちは嘘をついているわけではありません。(むしろそれは教諭のほう)
その理由はたくさん考えられますが、主には実験を行う過程でマウスたちが感じるストレスにあります。
生徒たちは優秀だと言われているマウスは自然と丁重に扱いますが、そうでないほうのマウスはぞんざいに扱ってしまいます。
心理的ストレスの少ない状態でより高い能力が発揮できるのは、人間だけでなくマウスも同じなのです。
このように、周りの人間から受ける期待や待遇は、人の学習能力に凄まじい影響を与えます。
行動経済学では、これを教授の名前にちなんでローゼンタール効果と呼びます。
別名ピグマリオン効果とも言います。
ピグマリオンとは、ギリシャ神話に登場する王の名前です。
彼は、自分で作った女像を愛していました。
その姿に心を打たれたアフロディーテという女神は、その女像に命を吹き込んでやりました。
こうしてピグマリオンは、その女性と結婚することが出来たのです。
ピグマリオンの愛がなければ、決して実現しえなかった結末です。
この効果は、教育現場で特によく表れます。
礼儀正しく性格の明るい児童をみると、先生たちは『この子は勉強も出来そうだ』と期待してしまうものです。
職場でも、容姿や学歴が良い人物をみると『この人は優秀そうだ』と無意識に決めつけてしまうものです。
そういった期待は、あなただけでなく、他の人たちも同じように抱いています。
その結果、ありとあらゆる場面で、本人がそれに見合う状態になれるように追い風が吹き始めるのです。
反対に、マイナスの期待を受けた人物は、なかなか成長の機会をつかめなくなります。
この効果は、侮れません。
今、自分のいる学校や職場で起きているローゼンタール効果を探してみるのも面白いかもしれません。
参照
Rosenthal effect – APA Dictionary of Psychology
The Pygmalion Effect | Duquesne University