人間はどこまで非道になれる?恐怖の実験

誰でも役割に従ってしまう?スタンフォード監獄実験

人は与えられた環境と役割で、簡単に性格が変わります。

それを証明したとされてきたのが、1971年、スタンフォード大学で行われた監獄実験です。

実験場所は、刑務所に見立てた地下施設でした。

リアリティを求めるため、本物の囚人看守と限りなく似た服装・環境が用意されました。

看守役は暴力を禁じられましたが、2日目には早くもそれが破られました。

待遇改善を求める囚人役の立てこもり事件を契機に看守役は暴力を行使し、さらには無意味な規則を策定するなどしました。

それに違反しようものなら、屈辱的な罰を囚人たちに与えたのです。

しかも、罰を受けた囚人役は従順になり、面会実験の舞台になったスタンフォード大学に来た家族や友人にすら実験の異常性を訴えませんでした。

囚人の一人が発狂して泣きじゃくる場面もありましたが、5日目に実験協力者の牧師が施設の異常に気づき、わずか6日で終了することになりました。

最近はこの実験に疑問の目が向けられています。

報告をまとめたのは、カリフォルニア大学バークレー校のベン・ブルム博士です。

報告書によれば、所長役の研究者が、看守役に対して役割になりきるよう話していた音声データが残っていた他、実験を発案したフィリップ・ジンバルドー教授も「ある程度不満を感じさせてもいい」と発言していたのです。

また、発狂した囚人の証言も貴重でした。

彼の発狂は、試験準備のために実験を抜け出そうとして行った演技だったのです。

同様の実験が行われても同じような結果が得られなかったことも、こうした証言の信頼性を高めています。

心理学の教科書に載っているほど有名な事件ですが、その信憑性は崩れ去ったのです。

参考 Stanford Prison Experiment

あなたにおすすめ