中国がアメリカ並みの軍事力を備えるためのシナリオと発端

子どもみたいなケンカをする中国とアメリカ

昨今、中国とアメリカの関係はとても悪く、新しい冷戦などと言われるほどです。

といってもミサイルや爆弾を使用する武力抗争に発展する可能性は低く、相手国から入ってくる品物に高い税金をかけたり、相手の国が行おうとしている政策を邪魔をしたりする形で進行すると言われています。

直接の物理攻撃ではなく、経済や政治の問題で争ってきました。

中国の当面のゴールは、アメリカ海軍と同じ力を持つことでしょう。

中国がそう考えるようになったのは、1995年に起きたある事件が原因です。

この時期、台湾で行われていた選挙を不満に思った中国は、台湾に近い海にミサイルを発射したり、軍事演習を行ったりし、台湾を脅していたのです。

しかし、台湾を守るためにアメリカ海軍がやってくると、中国はアメリカを怖がって退散しました。

これを第三次台湾海峡危機と呼びます。

この悔しさから、中国はアメリカと同等の海軍を持ち、周辺からアメリカを追い出そうと考えるようになりました。

大国の都合で2つに分かれた朝鮮半島

中国は北東で北朝鮮と大きく隣接しています。

北朝鮮は朝鮮半島の北部にありますが、元々はすぐ南の韓国と同じ大韓帝国という1つの国でした。

しかし1910年に無理矢理日本の領土にされ、第二次世界大戦が終わり日本が退いた後はアメリカとソ連がやって来て、アメリカが現在の韓国を独立させ、ソ連が現在の北朝鮮を独立させました。

こうして朝鮮半島は分断され、2つの国が出来あがりました。

北朝鮮のある朝鮮半島は地政学的に重要な場所にあり、1950年に起きた朝鮮戦争では、韓国にいたアメリカ軍を追い出そうと中国とソ連が北朝鮮と一緒に戦い、アメリカが韓国とともに戦いました。

2023年現在、この戦争はまだ休戦になっていますが、現在でも朝鮮半島はランドパワーとシーパワーが大きくぶつかり合う場所の1つになっています。

北朝鮮と仲良くする中国やロシアの視点

ロシアからすると、もし北朝鮮とアメリカが仲良くなると、ライバルがすぐ近くに来ることになります。

北朝鮮がミサイルを飛ばしても、核実験を行っても、中国は北朝鮮を庇って仲良くしています。

アメリカ並みの海軍を手に入れるために

中国の軍事戦略には、世界最強のアメリカと同じくらい強い海軍を持つことを目標にする戦略があります。

そのためには、世界の海を支配しているアメリカを中国の周辺から追い出さなければなりません。

そこでつくられたのが第一列島線第二列島線 です。

これは中国が勝手に決めた線で、 第一列島線は日本や台湾~東南アジア、第二列島線は遥かに長く、グアムやサイパンまで伸びています。

中国はこの線からアメリカを追い出し、そこに中国の海軍を置くことを目標にしています。

中国が海に出るための4段階

中国の戦略には明確な段取りが存在します。

①1982~2000年までに中国の周りの防衛体制をつくる

②2000~2010年までに第一列島線から内側を手に入れる

③2010~2020年までに第二列島線から内側を手に入れる

④2020~2040年までに太平洋の半分とインド洋からアメリカ軍を追い出す

…という流れでしたが、実際にはかなり遅れており、2021年頃にようやく中国は第一列島線に進出し始めました。

中国の動きが遅いからといい、そのぶん計画が重要でなくなったわけではありません。

中国は南シナ海に軍事基地を置いていますし、 沖縄やその先の第二列島線まで船を行き来させています。

参考 China has been simulating attacks on U.S. Navy ships, Taiwan says

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