傷から出た血を洗い流すときの激痛により気絶、嘔吐、失禁してしまう

激痛に耐えながらワニの紋様を刻む人々

パプアニューギニア随一の大河、セピック川流域のほとりに住むイアトムル族は、ワニを守り神として崇め、祖先もワニだと信じています。

そんな彼らの成人式では『偉大なるワニの強さを体に取り入れること』が表現されます。

しかし実際に行われるのは、背中一面の皮膚をカミソリで何千も傷つけるという痛々しいものです。

新成人は、村長のデザインした模様をカミソリで削がれると、そこに特殊な樹液を塗られて傷口を膨らませ、ワニの鱗のような模様を刻まれます。

しかし、傷から滲み出た血を水で洗い流すときの激痛は、気絶、嘔吐、失禁などが当たり前に起こってしまう程だそう。

この過程での流血は『母親から受け継いだ女の血を流しきる』 という意味があり、これによって初めて男に成れると信じられているのです。

しかし、止血もしない身体を傷つけ続けるので、障害が残ったり、ショックや出血多量で死亡した例もあるのだそう。

傷を彫り終わった後も、そのウロコ模様の部分が化膿する何日もの間、激痛は続きます。

しかも横になって眠ると傷に負担がかかり、仕上りが綺麗にならないので、寝るのも一苦労だといいます。

これらの苦難を乗り越え、二ヶ月ほどで肌はワニの皮膚のようなウロコ模様になり、男たちはやっと成人として認められるのです。

また、ファッションでタトゥーを入れる人は多いですが、タトゥーの模様で目と口が埋まるほど繊細で異様な迫力を醸し出しているのが、ニュージーランドのマオリ族です。

マオリ族のタトゥーはモコと呼ばれ、絵柄が細かいほど地位が高いなど、細かいルールがあります。

昔はその模様を見るだけで、出身の島や血統、さらにはどんな仕事をしているかまでわかったといいます。

モコの施術に使用する道具は、1世紀ほど前までは骨の先で肌を深く掘り、火薬を染料にしていたそうですが、今では錐(きり)に近い形状の道具を使います。

下書きをし、1分間に3000回も肌を刺し、表皮の下の層に少しずつインクを入れていきます。

それもいわゆるタトゥーのような細い筋ではなく、もはや傷と言っていいほどの跡を入れていきます。

そこまで深く刻み付けるのだから、痛みと肉体への負担は相当なものでしょう。

しかし『痛みをコントロールし自分のものにすれば、素晴らしいものが得られる』とマオリ族は考えます。

最近では、 モコのタトゥーは文化・芸術面から広く脚光を浴びるようになってきています。

参考 Iatmul - Introduction, Location, Language, Folklore, Religion, Major ...

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