頭をかち割るほど痛め付ける?イスラム教の儀式「アーシューラー」
身体を痛めつけるシーア派の儀式「アーシューラー」
世界各国には痛みや苦痛が伴う風習や行事が多々ありますが、イスラム教シーア派のアーシューラーの激しさは別格でしょう。
アーシューラーとは、イスラム教の預言者ムハンマドの孫イマーム・ホセイン師を悼む儀式を指します。
ホセイン師は、680年のカルバラの戦いで、敵対するウマイヤ朝によって一族もろとも惨殺されてしまった人物です。
師の殉教を哀しむ儀式であるため、 アーシューラーの日が近づくと至る所に黒い小屋が建ち、道路脇には黒い横断幕が貼られ、街路樹も全て黒い幕で覆われるなど、町中が喪の色に染められます。
この儀式が過激なのは、ダンデと呼ばれる集団による行進 「ザンジール・ザニー」があるからです。
ダンデは太鼓を叩いたり棺を担いだり、思い思いの哀悼の表現をしながら練り歩きます。
そして涙を流してホセインの名前を叫びながら、鉄製の鎖でお互いの背中や胸を打ち付け、鞭や刀で自分を傷つけるのです。
体は赤く腫れ上がり、頭や背中からは多量の血が流れます。
しかもダンデには、子どもや老人も含まれているというから驚きです。
それでも自分を痛めつけ続け、エスカレートすれば頭をかち割ることもあるそうです。
体中が真っ赤に染まっている者も1人や2人ではありません。
部外者にとっては危険に感じる儀式ですが、現地の人々にとってはこの日は宗教心と感情が絶頂まで高まる特別な日です。
イラン革命の際にも、アーシュラーの日の熱狂は特別だったといいます。
参考 What is the Day of Ashura?