人は偏見や先入観なしには生きていけない?
無理に『わかろう』とするな?
選挙結果は、候補者たちの外見に物凄く左右されると言われています。
小さな子どもたちに二人の候補者の写真を見せ、『どちらがあなたの船の船長になってほしいですか?』と尋ねた場合、多くの子どもが実際に当選した政治家の方を選ぶという実験結果もあるくらいです。
人の外見が重要なのは人間関係や面接だけではありません。
政治家や議員を選出する選挙でも、信用できそうな、信頼できそうな見た目の人が選ばれます。
人の外見がなぜ重要なのか?という問の答えはあまりに壮大で、挙げればキリがありません。
中でも、人は難しい判断に迫られた際、より簡単な別の視点にすり替える習性があります。
これを行動経済学では※判断ヒューリスティックと呼びます。
特定の候補者が政治家に向いているかどうかを写真だけで決めるのは困難です。
なので、人は無意識に『外見が良い=政治家として相応しい』と、別の評価で代用するのです。
※ヒューリスティックには様々な種類があります。
ヒューリスティックに共通するのは『よくわからない物事を理解しようとする際、既に理解している範囲内に落とし込んで判断しようとする点』です。
ヒューリスティック(Heuristic)の語源は、ギリシャ語で『わかった』を意味する“Eureka(エウレカ)”です。
突然ですが、みなさんは「ホースラディッシュ」という食べ物を知っていますか?
擦り下ろしてステーキやローストビーフなどに付けて食べる、わさびをマイルドにしたような味わいの野菜です。
東洋人には、あまり馴染みがありませんよね。
なので、わかりやすく「西洋わさび」などと呼んだりします。
しかし、私達がお寿司に付けて食べるわさびと同じかと言えば、やはりかなり違います。
ですが『西洋のわさびみたいなものだ』と思えば、なんとなく理解した気になります。
これがヒューリスティックの簡単な事例です。
『わかる』とはとても恐ろしいことです。
本当にわかっているのか、本当はわかっていないのか、それは誰にもわからないし、本当のところは誰も教えてくれないのです。
参照
Judgment Heuristics and Biases - Northern Kentucky University
Heuristics and Cognitive Biases - Verywell Mind