たばこ税は気にせず払う人が消費増税は嫌がる心理学的理由
昨夜は一杯1000円のカクテルを2杯も飲んだのに、なぜ今日は1000円のカルビにするか1500円の特上カルビにするかで悩んでいるのだろう?
私たちはお金を払う際、頭の中に無意識的に作られた『別々の財布』からお金を出しています。
一人で食べるランチは1000円以内で済ませたがるのに、恋人とのデートでは1杯1000円のワインをおかわりする人がいます。
普段のスーパーでの買い物では慎重に吟味するのに、旅先の飲食店では値段も見ずに注文してしまう人がいます。
あなたも似たようなことを経験したことがあるのではないでしょうか。
自分の食費とデートでの食費、そして日常の食材代と旅先の食事代は、同じ食べ物であっても頭の中にある別々の財布から出ている、と表現することが出来るでしょう。
同じ1000円であっても、それが入っている財布によってその価値は変わります。
行動経済学では、このバイアスをメンタル・アカウンティング(心の会計)と呼びます。
この作用により、人はときに非合理的なお金の使い方をしてしまいます。
例えば、あなたがマイホーム購人の頭金を用意するため、積み立てで定期預金をしていたとします。
しかし、家を買う前になって突然、車が壊れてしまい、先に車を買い替えなければいけなくなったとします。
定期預金を解約すれば、車はローンを組まずに現金一括で購入できます。
しかし『マイホームの頭金には手をつけられない』と考え、そこで車のローンを組んでしまう人が少なからずいるのです。
定期預金の金利より車のローンの金利の方が遥かに高いのにも関わらず、定期預金は言わば『マイホーム用の財布』に入っているため、予定外のもののために使うことに強い抵抗を感じます。
また、高額商品の購入を検討する際、ボーナスが入ったら買おうと考えるサラリーマンは多くいます。
そういう人はボーナスが入れば大きな買い物をしても大丈夫だと思っているので、あまり躊躇はありません。
そのため、その商品は本当に必要なものなのかや、買うのをやめて貯金したほうが良いのでは、などと考えもせず散財してしまいます。
これも、メンタル・アカウンティングが発生している一例です。
お金を使うとき、金額の大きさに関わらず『この買い物には抵抗感がないのはなぜだろう』と考えることをおすすめします。
買い物をする際、『頭の中の財布たち』の存在を忘れないようにしていきたいものです。
参考 Mental Accounting: Definition, Avoiding Bias, and Example