
世紀末に日本で猛威を奮った腸管出血性大腸菌
「O-157」があれば、「O-156」 「O-158」もある
大腸菌の一種である「O-157」が日本中で猛威を奮ったことがありました。
これは感染すると死んでしまうこともある恐ろしい菌です。
では「157」という数字は何を表しているのでしょうか。
ここで使われている「157」とは、157番目に発見されたという意味です。
つまり、O-156や158も存在するのです。
それでは、何の157番目なのかというと、大腸菌の一部はO抗原とH抗原に分かれますが、O-157は抗原として157番目に発見された大腸菌なのです。
つまり、抗原の菌はほかにもたくさんあり、O-157もそのうちの一つに過ぎないということです。
それでは、なぜO-157特にが怖がられているのでしょうか。
それは腸管出血性大腸菌O-157という恐ろしい正式名称の通り、特に強い病原性を持っているせいです。
大腸菌だからといって全部が全部、強い病原性を持っているわけではありません。
中には、まったく病原性のない、怖くない菌もあるのです。
O-157の恐ろしいところは、ベロ毒素という毒素を出し、合併症を引き起こす点にあります。
最初は、鼻水、せき、悪寒など風邪と同じ症状の場合が多いため、そのうち治るだろうとたかをくくってしまうのも悪化させる原因です。
やがて、腹痛がひどくなり、下痢や発熱、下血などが見られるようになり、ひどい場合には死に至ってしまうのです。
この症状が発見されたのは、1982年のアメリカでした。日本では1996年頃からその恐ろしさが広く知られるようになり、いまもなおO-157に感染したという死亡事故は多く報告されているのです。
参考 腸管出血性大腸菌感染症とは