
あなたに『言い訳グセ』の恐ろしさをわからせる認知的不協和理論
読み終わる頃には『言い訳は意地でもしないようにしよう』と思えるでしょう…
私たちは、自分の意志や判断をなかなか否定することが出来ません。
受験、面接、仕事、恋愛など…私たちは生きていく中で様々な失敗や挫折を経験しますが、それが明らかな失態であっても、その度に言い訳をしては自分を正当化しようとします。
『あの大学の入学試験では、たまたま自分の苦手な分野ばかりが出題された。自分の総合的な学力が足りなかったわけではないから、もう一度やれば合格していただろう。』
『あの新しい企画は最初からうまくいくとは思っていなかった。確かに失敗したのは事実だが、自分が意志決定をする立場にいるならそもそもやろうと思っていない。』
などと、『とにかく自分のせいではない』と言わんばかりに理由を見つけようとするのです。
行動経済学では、これを認知的不協和の解消という概念で説明します。
心理学で有名な認知的不協和理論は、アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーが提唱したものです。
人は、自分の心の中に矛盾した2つの事実があると、まず事実を何とか変えられないかと考えます。
しかし変えられないと分かると、2つの矛盾を解消するため、自分の考え方や捉え方、行動を変えていきます。
整合性のとれない2つの事実を抱えている、不安定で居心地の悪い状態から、いち早く抜け出そうとするのです。
その一例として頻繁に引き合いに出されるのが、イソップ物語のキツネとブドウの話です。
木に成っている美味しそうなブドウを目の前にしながら手が届かずにいるキツネは、『あのブドウは酸っぱくて美味しくないはずだ』と考えることで、手に入らないことを肯定しようとします。
あらゆる認知的不協和の解消に共通するのは、損失を認めたくないという思いです。
しかし皮肉なことに、小さな損を正当化することで、実は大きな損に繋がる可能性があります。
受験に失敗したのは自分の学力不足のせいだと思えれば、次の機会にはより大きな努力をしようと思えるでしょう。
しかし『あれは偶然で、自分の学力に不足はなかった』と自分以外に原因を見出だしてしまうと、多少の精神的損失が解消される代わりに、次の試験に受かるチャンスを逃すかもしれません。
仕事の企画の失敗においても『最初からうまくいかないと思っていた』などと言い訳をすることで『自分の責任で起きた失敗ではない』と、小さな安堵を得ることが出来ます。
しかし『じゃあ自分はどうすれば企画を成功に導けたのか?』と考え、次の機会に繋げられれば、本人も組織も成長する未来が待っていたでしょう。
認知的不協和の解消という無意識に生じる『失敗を認めない姿勢』は、個人はおろか、企業の業績を大きく左右することもあるのです。
参考 What Is Cognitive Dissonance? Definition and Examples