バッターが変化球を見て狙い打つのは不可能だが、本人はそうしたと思い込む不思議

脳は『過去の出来事の順番』をよく間違える

『時間は流れるものだ』と私たちが考えているのは、心や意識でそう感じているからに他なりません。

しかし、現実に起きている出来事の流れと、私たちが意識している時間の流れは、必ずしも対応していません。

あることが先に起きて、その後に別のあることが起きたと記憶していたのに、実際の順番は逆だった、という勘違いはよく起きます。

実験でも、実際の順序と脳が構築した順序がやく逆転することが明らかになっています。

野球でヒットを打った選手がインタビューを受けた際、『ピッチャーが投げた球はスライダーだったので、そこを狙って打ちました。』などと説明をすることがあります。

しかし、これは運動学的にあり得ないことなのです。

なぜなら、ピッチャーの投球がホームベース上に到達するまで、球速が時速150kmだとすると0.4秒程かかります。

その刹那の間に、変化球を目で見て打ち方を調整するなど、いくらアスリートでも不可能です。

実際は『ボールがピッチャーの手から離れる前に脳内で無意識に予測していて、その通りにバットを振っている』というのが物理学的に確からしい順番です。

それが打った本人はというと、『ピッチャーが投げ、そのボールが途中で曲がったのを見て、そこを狙って打った』と本気で感じるのです。

これと似たようなことが、私たちの『時間に対する考え方』にも当てはまります。

時間が流れているという私たちが確かに感じていることも、もしかしたら同様に脳が構築した虚構なのかも知れません。

参照 What Is Time? A Simple Explanation

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