新潟で行われた病原菌を意図的に注射する実験
精神病患者に病原菌を注射する実験
1952年、新潟精神病院で入院患者が深夜に高熱を発することが増えていました。
しかし、医師は処置の指示をしようとしません。
なぜなら、それは医師たちによる秘密の人体実験だったからです。
ことが明らかになったのは、労働問題に端を発します。
当時、新潟精神病院では人員が不足し、給料もわずかでした。
看護人たちが労働組合を結成レストライキを決行すると、病院側は労組の幹部を解雇しました。
これを不当とした労組は、新潟地方労働委員会へ告訴しました。
労働委員会は病院側への審問を行うも、そこで委員の一人が「新潟精神病院ではツツガムシ病原体を患者に注射していた」という爆弾発言を口にしたのです。
ダニの一種であるツツガムシの幼虫は、ツツガムシ病原体を保菌しており、これに感染すると強い頭痛や高熱などの症状が出るとされます。
そんな危険な病原体を、医師たちはなぜ患者に注射したのでしょうか?
理由は、解熱剤を開発するためです。
このとき解熱に使われたのは、アメリカで開発され、日本では使用が禁止されていた新しい抗生物質でした。
つまり、患者はアメリカが開発した新薬による効果を実証するための実験台にされたということです。
普通に考えれば大問題ですが、 法務省はこの事件について警告を示すにとどめていました。
その理由は不明ですが、厚生省(現厚生労働省)による実験依頼があった、ツツガムシ病原体を利用した細菌兵器開発を目したアメリカ軍からの要請だったとの説もあります。
参考 ・新潟精神病院における恙虫病原体接種事件について(◆昭和32年11月 ...