渡り鳥とオーロラの共通点!なければ人間は生きられない?

渡り鳥とオーロラの意外な共通点

渡り鳥は、主に南北を移動します。

特にキョクアジサシは、北極圏と南極圏を毎年行き来しています。

人間からすると、よく迷子にならずに辿り着けるなと感心してしまいますが、渡り鳥たちは地球の磁場を感知することで方向を把握しているようです。

星を見て方向を定めているという説もありますが、星はいつも同じ方向にあるわけではなく、地球の自転に合わせて回っているため、この説は有力ではありません。

また、故意に電磁波のノイズを発生させると、鳥たちは方向を見失ってしまうという実験結果もあります。

ちなみに磁場とは、磁力の作用する空間のことです。

地球は全体が大きな磁石になっており、S極が北、N極が南にあります。

私たちがもっている磁石のN極が北を向きS極が南を向くのは、N極は北にあるS極に引き付けられ、S極は南にあるN極に引き付けられるからです。

地球の内部に北極をS極、南極をN極とする棒磁石があり、南極から出て北極に入る磁力線が走り、地球の表面をぐるりと覆うように磁場が形成されているイメージです。

また、地球全体が磁石となって磁場が発生するのは、地球の中心部に電流が流れているためです。

コイルのように、電流が流れるとその流れる方向と垂直な方向に磁場が発生します。

地球の内部で自転と反対方向に電流が流れているため、現在のような向きの磁場が生まれました。

地球の内部がどうなっているのかは直接的に調べられないので完全には解明されていませんが、地球の中心部には鉄やニッケルなどの金属でできた中心核があり、その内側の内核は固体、外側の外核)は液体になっています。

その液体の部分が地球の自転などの影響で流動することで電流が流れ、磁場を生させているとされます。

これをダイナモ理論と呼び、今のところ地球の磁場を説明する最も有力な説です。

そして地球の磁場の向きは、この先ずっと同じというわけではありません。

というのも、過去360万年の間に1回、地球のN極とS極は逆転しており、これを地磁気逆転と呼びます。

直近では、約78万年前に起こりました。

つまり、その前には私たちの磁石のN極は南を向き、S極は北を向いていたということです。

ちなみに太陽では、より頻繁に磁場の向きの逆転が起きています。

おおよそ11年周期で起こることがわかってはいるものの、なぜそんなに頻繁なのか、そのメカニズムは未だ不明です。

地球の地磁気逆転にしても、向きが変わったということは地球の内部を流れる電流の向きが変わったと考えられそうですが、こちらも詳しいことはわかっていません。

ただ、地球の磁場の強さは年々弱まっているそうです。

過去200年で10%も弱まったという報告もあります。

そのため、遠くない将来、逆転現象が起こるのではと睨む専門家もいますが、具体的にいつ起こるのかや、そのメカニズムについてはやはり不明です。

地球の磁場に私たちは守られている

地球を覆う磁場があるおかげで、太陽からの有害な放射線が地球に降り注ぐことなく、私たちは安全に暮らすことができています。

太陽からは、陽子と電子を主成分とする太陽風が常に放出されています。

しかし、特にプラスの電荷をもった粒子である陽子が地球にたくさん降り注ぐと危険です。

そこで磁場があると、電荷をもつ粒子は磁力線に沿った二方向にしか進めないという性質があるため、磁場を無視して垂直に進むことはできなくなります。

そのため、陽子も電子も磁力の方向に巻き付けられるように進んでいくため、磁力線に沿って地球を回り込むように進み、地表にダイレクトに降り注ぐことはないのです。

ただ、磁力線の出どころである北極と南極にはやや降り注ぎます。

それが、オーロラです。

太陽風に含まれる陽子や電子などの電荷をもった粒子が、北極や南極の上空の大気中の酸素原子や窒素原子と衝突する際、光が出ます。

こらがオーロラの正体なのです。

光が出る理由は、衝突された原子がエネルギーをもらって励起状態になるから。

太陽風に乗ってきた荷電粒子が窒素原子や酸素原子に衝突すると、その原子内の電子にエネルギーが渡り、いつもよりも外側の軌道を回るようになります。

これが励起(れいき)です。

ただ、励起している状態の電子は不安定なため、しばらくするとまた定位置に戻っていきます。

このときにエネルギーの差を電磁波として放出するのです。

その光が、私たちからすると美しい光景となって表れるのです。

もし地球に磁場がなかったら、あのオーロラも存在しなかったわけです。

そして何より、磁場がなければ、太陽が放出する有害な放射線から地球を守るバリアがなくなるので、私たちは今のようには暮らせなくなるでしょう。

そもそも生物自体が存在しなかったかもしれません。

地球と同様、岩石でできた惑星は太陽系では水星、金星、地球、火星の4つですが、このうち磁場を持つのは地球と水星のみです。

しかし、水星の磁場は地球に比べるとだいぶ弱く、地球はまさに奇跡の星と言えるのです。

参照 What Causes The Northern Lights? Scientists Finally Know For Sure

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