宇宙船を破壊するスペース・デブリの恐怖
スペース・デブリが宇宙船を破壊する
ここ数年、有人の宇宙探査計画が着々と進行しています。
NASAは、2023年に宇宙飛行士を月の裏側にまで向けるミッションを計画しており、民間企業のスペースXも、民間人を乗せて月を周回する計画を発表しています。
2045年には火星へ行けるという推測もあり、宇宙開発の新しい歴史が始まろうとしています。
しかし、華々しい宇宙開発の発展の陰では、スペース・デブリという負の遺産も生じていました。
スペース・デブリとは、用済みになったロケットの機体や、運用を終えた人工衛星、それらから放出されたボルトやナットといった部品類などの廃棄物のことです。
10cm以上のもので約9000個、数cm単位のものも含めると75万個以上が地球の周りを漂っているといいます。
デブリの問題は、その破壊力にあります。
デブリは地上のゴミと違い、 真空で抵抗のない宇宙空間をさまよっているため、 速度は飛躍的に上がり、秒速7km以上に達します。
これはライフル弾の発射速度のおよそ7倍という猛スピードで、1cm程度のデブリでも、乗用車の衝突に匹敵するほどの破壊力を持ちます。
こうした危険があるにもかかわらず、近年中国は、衛星破壊実験を何度か行っています。
目的は、アメリカが運用しているミサイル防衛(MD)への対抗措置だといわれています。
自国の衛星を破壊することで、アメリカに対しMDを破壊する手段を持っているとアピールをしたのです。
最近では、中国はスペースデブリ除去用 「レーザー衛星」の研究を発表しました。
ただ、これが兵器として利用される恐れもあり、正しく運用されるのか、疑問は残ったままです。
ロシア政府も人工衛星を破壊可能なレーザーを開発する企業を支援しており、 アメリカ政府は警戒を強めています。
人類の夢である宇宙への進出の裏では、各国による熾烈な軍事競争が繰り広げられているのです。
参考 Space Debris and Human Spacecraft