ヨーロッパのNATO勢力とロシアに挟まれた地域
世界ナンバーワン同士が争った冷戦
ロシアの戦略について考える前に、まず冷戦についてまとめておきます。
冷戦とは第二次世界大戦以降、二大国であるアメリカとソ連の間で起きた緊張状態のことです。
争うといっても、たがいに核兵器を持っているため、核戦争になれば地球が終わってしまいます。
なので以下のような『直接戦わない』方法で争っていました。
典型的なのが、争う勢力にそれぞれ支援を行って戦わせる代理戦争です。
また、ミサイルやロケット、 戦闘機などの開発競争も冷戦中に激化した争い方でした。
ソ連に対抗するための同盟、NATO
冷戦中につくられ、今でも残っている組織がNATO(北太平洋条約機構)です。
NATOは、ソ連の侵略から自国の仲間を守るため、ヨーロッパやアメリカを中心としてつくられた軍事同盟です。
もしソ連がNATO加入国に攻撃し、アメリカや他の加入国に反撃されてしまったら勝ち目がありません。
なのでどんなに仲が悪くとも、ソ連はNATO加盟国には手出しはしませんでした。
冷戦後もロシアへ圧力をかけているNATOは、ロシアを封じこめるため、さまざまな政策を行ってきました。
特に冷戦が終わってからは、元ソ連から独立した国をNATOに加盟させ、ロシアとヨーロッパを隔てる防壁にしたり、ロシアの近くにNATOの基地を置いてロシアに圧力をかけたりしています。
それらは2022年にロシアがウクライナに侵攻したきっかけでもあります。
ポーランドはロシアとヨーロッパを繋ぐ橋渡し
アメリカは、さらにロシアの動きを押さえこむため、ポーランドの防衛を強化しようとしています。
ポーランドはロシアとベラルーシを挟んだ場所にあります。
ベラルーシの大統領はロシアととても仲が良く、かつてはソ連の一部でした。
なのでロシアが陸路でヨーロッパに攻めるとき、ベラルーシがロシアの味方になる確率は高く、 つまりポーランドはロシアと隣り合っているようなものなのです。
第二次世界大戦のとき、ポーランドはソ連とドイツに両側から侵略された歴史があります。
しかし、これはライバル同士だったソ連とドイツの間に挟まれており、 お互いの国に攻めるための通路になっていたからです。
現在でもロシアとライバルであるNATOはポーランドを仲間に加えてポーランドの防衛を強くすることで、ロシアがヨーロッパに侵攻してこないよう防壁にしているのです。
昨今、ベラルーシの大統領が不人気で、降板するよう要求する国民が多数いたそうです。
ここにNATOが入り込めばロシアの動きをさらに封じられそうなものですが、ロシアがそれを許さないことがウクライナ侵攻により見てとれました。
参考 Statement by the President: Situation in Belarus - European Union