その映画の影響で少女は輪姦され、ホームレスは蹴り殺された?

暴力事件を誘発した映画?
  • 『時計じかけのオレンジ』
  • 『2001年宇宙の旅』
  • 『シャイニング』

これらの作品を手掛け、20世紀最大の映画監督と称されるスタンリー・キューブリック

恐怖や暴力を独自の視点で表現して映像美を生み出し、映画史に残る名作を発表し続けました。

過激な演出が物議をかもすこともありましたが、特に大きく話題になったのは、暴力事件を誘発したといわれる 『時計じかけのオレンジ』です。

1962年に発表された同名小説を原作に、キューブリックは近未来の管理社会を魅惑的に描きだしました。

1971年12月に映画が公開されると、ティーンエイジャーによる暴力や性衝動の描写は賛否両論を呼んだものの、作品は大ヒットし、興行的な成功を収めました。

しかし、翌年5月15日には不穏な事件が起こっています。

大統領選挙のキャンペーン中だったアラバマ州知事のジョージ・ウォレスが、22歳の男に狙撃され、下半身不随になるという事件が起きたのです。

この事件を起こした犯人である青年の日記に「時計じかけのオレンジを見て、その間ずっとウォレスをやることを考えていた」という箇所がありました。

映画の主人公アレックスのセリフにある「ウルトラ・バイオレンス」という言葉も使っていました。

また、イギリスでは、18歳未満の観客が制限されて上映されましたが、映画に触発されたと思われる暴力事件が相次ぎました。

映画のシーンを再現するかのように、不良グループが旅行で訪れていた17歳のオランダ人少女を輪姦したり、少年が60歳のホームレスを死ぬまで蹴り続けたりしました。

供述では 『時計じかけのオレンジ』の名がよくあがったといいます。

世論を無視できなくなったキューブリックは、1973年8月、自主規制の形でイギリスでの配給を停止しました。

再び一般公開されたのは、キューブの死後、2000年3月のことでした。

参考 A Clockwork Orange (1971)

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