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ソ連崩壊後のロシアと東ヨーロッパの緩衝地帯、NATOの考えは
相次ぐ旧ソ連国の独立で緩衝地帯を失ったロシア
2023年現在のロシアのプーチン大統領は、ソ連の崩壊を『20世紀最大の地政学的悲劇』と言っています。
ソ連はかつて多くの国を自分の国に組み入れ、ヨーロッパとの緩衝地帯にしていました。
しかしソ連が崩壊したことで、それまでソ連を構成していた国が次々に独立していきました。
そのせいで防波堤となる国がなくなってしまい、ロシアは途端に安心できなくなりました。
特にバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)とベラルーシ、ウクライナの5ヶ国は独立した旧ソ連諸国の中でも大事な国でした。
これらの地域はヨーロッパとロシアを繋いでいる場所だからです。
もしこれらの国がアメリカの仲間になってしまったら、ロシアの国境までライバルの脅威が近づくことになります。
それら5ヶ国はロシアの敵か?味方か?
では結局、それらの5ヶ国は現在どうしているのでしょうか。
バルト三国はアメリカが主体のNATOに加盟したことで、公にロシアの敵となってしまいました。
ベラルーシはロシアが経済支援を行うことで味方につけることに成功しています。
しかしバルト三国、ベラルーシ、ウクライナには、それぞれ複雑な問題があります。
アメリカとヨーロッパの仲間入りをしたバルト三国とは、エストニア、ラトビア、リトアニアという隣接する小さな国々の総称です。
バルト三国も1990年まではソ連の一部でしたが、ソ連が崩壊する直前に3国とも独立し、2004年にはNATOに加入したことでヨーロッパとアメリカの仲間になりました。
この3国は、ロシアがヨーロッパに進攻するのを防ぐ前線基地の1つになっています。
エストニアとラトビアは直接ロシア本土と隣接しているため、ロシアがNATO諸国と戦争になったときにはこの2国を征服しないと先に進めません。
隣接はしていないリトアニアも、ロシアの飛び地であるカリーニングラードやロシアの仲間であるベラルーシを分断する位置にあるため、ロシアからの標的になりやすい場所になっています。
ロシアの侵攻を止めたいNATO
カリーニングラードはロシアから離れた場所にありますが、ロシアの領土です。
ここは大量のミサイルや戦車、軍事施設、バルト海に進出する艦隊の港まである、まさにロシアの要塞都市のような場所となっています。
カリーニングラードはロシアと仲の良いベラルーシから近い位置にあります。
短い国境を戦車部隊に走らせれば、僅か30時間ほどでNATO諸国からリトアニアを分断できると言われています。
そうさせないために、NATOはリトアニアの守りを強化しています。
ロシアに民族性の近いベラルーシは軍事や戦略の味方
バルト三国だけでなく、ベラルーシもロシアと隣り合う国の1つです。
この国はソ連があった時代に「白ロシア」と呼ばれており、ソ連が崩壊したあとにベラルーシの名前に変わりました。
また、ベラルーシにはベラルーシ語だけでなくロシア語を話せる人がたくさんいることからも、ロシアとの親交の深さが見とれます。
そしてベラルーシは独裁国家なため、アメリカと仲が良くありません。
ベラルーシは、1994年にアレクサンドル・ルカシェンコが大統領になってから20年以上も独裁政治を行っています。
独裁政治を嫌うヨーロッパの一部やアメリカは国交すらも断絶しています。
ポーランドもロシアの重要な緩衝地帯
ベラルーシはポーランドやリトアニア、NATO加盟国と隣り合う、ロシアにとっては自分の国を守るための防波堤となっています。
なのでロシアはベラルーシがヨーロッパに取られないよう必死です。
対するヨーロッパやアメリカは、ベラルーシかロシアがヨーロッパに進出してくるのを危険視しており、ベラルーシと隣り合うポーランドの防衛力を高めています。
つまりベラルーシとポーランドは、ロシアとNATOの衝突を避ける緩衝地帯になっています。
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