
遺体の肉を削ぎ落とし、バナナの葉に包んで焼いて食う文化
パプアニューギニアの食人習慣
パプアニューギニアの高地に住むフォレ族は、1920年ごろから衝撃の儀式を繰り返していました。
それは、葬儀の際に遺体の肉を骨から削ぎ落とし、バナナの葉に包んで焼き食べるというものです。
なぜそのような恐ろしいことをしていたのでしょうか。
それは『愛する近親者の肉体を食することでわが身に収め、死者の魂を慰めることができる』というのが理由だとされます。
この食人儀式が1950年代に定着し始めると、奇妙なことが起こるようになりました。
葬儀に出席した女性や子どもを中心に、無残な死を遂げる者が続出したのです。
ときには葬儀に参列した20人のうち15人が死ぬこともありました。
この怪奇に恐怖した人々は、現地語で「震える」の意味を持つクールーからクールーの呪いと名付けました。
なぜフォレ族の間でクールーが起きたのでしょうか。
原因をつきとめるため、欧米の人類学者によって1957年に現地調査が行われました。
老女を数人診察したところ、プリオンというタンパク質の異常により、脳がスポンジのようにスカスカになっていたことが判明します。
その原因は、人間が人肉を食す「同種食い」によるものとわかりました。
そもそもフォレ族に食人風習が定着したのは、女性と子どもの多くが栄養失調で、飢えを凌ぐことも目的の一つだったようです。
1950年代終わりにオーストラリア政府が出張所を設けたことで、食人習慣は中止されました。
しかし、その後もしばらくは発症者が後を絶たず、1957年から2002年まで2500人もの死者が出たといわれています。
参考 Cannibalism: When People Ate People, A Strange Disease Emerged : The Salt