核兵器により人工衛星が多数壊滅、ハワイ近辺は停電に
1952年、アメリカは原爆を超える水素爆弾の実験に成功しました。
そして、水爆による核実験の中には、世界に甚大な被害を与えたかもしれないものまで含まれていました。
それが1962年から約半年間続き、105回も行われたドミニク作戦です。
主な実験内容は通常の起爆実験が中心でしたが、ドミニク作戦の真の恐ろしさは大気圏外核実験にあります。
地球近辺の宇宙空間で核が爆発すると強力な電磁パルスが発生し、地球圏の磁場を乱します。
磁場の混乱は地上の電子機器にさまざまな悪影響を及ぼし、コンピュータ類をダウンさせ、 通信システムだけでなく、金融、医療、交通や産業までもが混乱をきたしてしまうのです。
それがわかっていたにもかかわらず、1962年夏には大気圏外で核兵器を起爆。
その結果、高度数百km圏内にある人工衛星が多数破壊され、ハワイ近辺が数時間停電する事態に陥ったのです。
ただ、核兵器が中型だったこともあり、また現在ほど通信インフラが発展していなかったため被害は少なくて済みました。
しかし、より高威力の核が使われていたら、被害も大規模となっていたでしょう。
電子機器に頼る現代文明が破壊される危険性も否定できなかったのです。
参考 What is an H-bomb? - BBC News