米軍は本来の海の力と、戦後に高められた空の力で世界をどうする?

海の上に線を引き、縄張りをつくるアメリカ

世界の海を支配したいアメリカは、 海に防衛線を定めています。

防衛線とは地図上に引かれる線のことで、縄張りを示すようなものです。

『この線を越えた国は敵と見なす』と主張する役割を果たします。

もし他国が攻めてきたとして、自国内に上陸されるまで何も反応しないということはありません。

自国に近づく心当たりのない何者かが現れた場合、警戒や警告をしなければなりません。

アメリカは自国よりも大幅に外側の、限りなく相手国に近い場所に線を引き、巨大な縄張りアピールをします。

この線をアチソンラインと呼び、これらを守るために、例えば日本の沖縄や神奈川、青森などにアメリカ軍がいるのです。

アチソンラインを監視するアメリカは、自国を防衛するときにも防衛線というものを考えます。

日本を足がかりに中国の海上進出を止めている現代のアメリカの防衛線は、韓国や台湾を覆うように引かれています。

日本とアメリカはかなり離れていますが、日本に多くの基地があることで、もし中国がこのラインを越えて海に進出しようとすれば、 アメリカは即座に圧力をかけて中国を止めることができます。

さらに、アメリカは日本をアジアでの活動の中心地にしており、中国が狙うもう1つの海であるインド洋も守っています。

日本はアメリカにとってライバルである中国を動けなくさせるための巨大な基地になっているのです。

アメリカは世界中の海に艦隊を置いている

アメリカは世界の海を守るため、7つの艦隊を世界中に置いています。

中でも、最も大きくて強いとされているのが第七艦隊と呼ばれる艦隊です。

この艦隊は太平洋からインド洋までの広大な範囲を守るために最新鋭の軍船やレーダー、通信施設に戦闘機まで、世界最新鋭の装備を備えています。

第七艦隊は日本にある

第七艦隊は、日本の横須賀の米軍基地にあります。

大戦中、横須賀には日本の海軍の港があり、戦後はアメリカが使いはじめたことで第七艦隊の母港になりました。

もしもアジアで問題が起こった場合、 アメリカ軍は横須賀基地から出航するでしょう。

ちなみに艦隊の中の状況はトップシークレットで、部外者は一切アクセスできないまさに秘密基地とされています。

南シナ海を回遊して中国に圧をかける

現在の第七艦隊は、航行の自由作戦を行っています。

例えば中国が『自分の海だ』と主張している南シナ海や台湾海峡を、アメリカ軍船があえて通ることで『ここは中国のものじゃない』と警告します。

中国は最強のアメリカ艦隊を無理やり追いだすことはできません。

こうしてアメリカは中国に圧をかけつつ、アジアや日本の安全を守っています。

空の力、エアパワー

エアパワーとは、アメリカの軍人ウィリアム・ミッチェルが提案した概念です。

戦闘機が初めて登場したのは第一次世界大戦中でした。

空から地上への攻撃に比べ、地上から空への攻撃は困難です。

つまり、戦闘機による空からの攻撃はそもそも有利であると言えます。

ミッチェルはこれを受け、空を支配するエアパワーは陸や海を支配するのと同じくらい大切なものになると考えました。

ミサイルや人工衛星などの研究がさらに進むと、彼の予言通り、エアパワーの戦闘機や爆撃機は大いに活躍しました。

こうしてエアパワーの有効性は認知され、世界の大国がエアパワーでの軍備を考えるようになっていきました。

飛行機よりもさらに高高度に到達したエアパワー

第二次世界大戦が終わったとき、飛行機よりも高い空間を支配しようと考える人たちが現れました。

そこで登場し始めたのが、ミサイルや人工衛星です。

ミサイルは、戦闘機よりも遥かに高いところから敵を攻撃できます。

人工衛星は地上から攻撃できない位置から敵を確認できます。

シーパワー×エアパワーこそが米軍

現代、エアパワーはアメリカが技術、物量ともにトップの座にいます。

アメリカは、世界のどの海にも航空母艦を送ることができ、世界の主要都市を狙えるミサイルや、世界のどこでも監視できる人工衛星を持っています。

元来のシーパワーと、新たに加わったエアパワーの組み合わせが、アメリカ軍の強みです。

参考 The Official Home Page of the U.S. Air Force

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