900人の信者が一斉に青酸カリを飲み自殺

アメリカ史上最悪の集団自殺事件

日本でカルト教団といえばオウム真理教が有名ですが、アメリカのカルト教団といえば人民寺院です。

人民寺院はキリスト教をベースにしていましたが、次第に狂信者集団と化し、1978年に900人に及ぶ集団自殺事件を起こしたのです。

人民寺院の創始者は、ジム・ジョーンズという男でした。

母が熱心なクリスチャンで、結婚相手の父親が宣教師だったことから、ジョーンズも若いころから布教活動を行っていました。

雄弁な語り口で人種差別撤廃を求めるジョーンズに、黒人や貧困層は期待したようです。

1955年にインディアナポリスで人民寺院が設立されると、反戦運動にも積極的にとりくみ、リベラルな団体として知られるようになっていきました。

しかし、その内実は当初から怪しげなものでした。

動物の臓器を用いる心霊治療によって資金を集めたり、教団に性的な儀式を行わせたりと、かなり危ないことをやっているのです。

そもそもジョーンズの目的は、社会主義的、共産主義的な理想郷を実現することで、宗教活動はその手段でしかありませんでした。

次第におかしな言動を繰り返すようになりましたが、

表向きはそうした点を隠し続け、むしろ60年代からは政治家とのつながりもできて社会的地位を築いていました。

ジョーンズの異常性は、「ジョーンズタウン」に示されています。

ジョーンズタウンは1974年、ジョーンズとそれに従う信者が、南米ガイアナの土地を購入して開拓した土地です。

ジョーンズはここを「社会主義の楽園」だと喧伝しましたが、実質は信者を搾取する牢獄でした。

信者はジョーンズや幹部らによって性的暴行を加えられ、集団自殺の予行演習をさせられました。

外部との接触を遮断し、脱走を図る者には制裁が加えられ、信者は恐怖によって支配されていました。

もちろん、そうした支配が長く続くわけがなく、1977年に元信者の告白などにより、教祖の異常性が知られるようになりました。

そして1978年11月、下院議員らによる視察団がジョーンズタウンを訪れたとき、事件は起きました。

視察団の抹殺を図って失敗すると、 ジョーンズは信者に自殺を命令したのです。

予行練習どおり、信者たちはシアン化合物を口に含み、約900人が命を落としました。

ジョーンズもこのときに死亡しています。

参考 Peoples Temple | Overview, Jim Jones, Cult, Massacre, & Facts

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