内臓の密売目的で6歳の子どもが殺された1903年の事件

江戸時代に人体の一部が薬にされていた

漢方では「熊の胆嚢」や 「鹿の角」など、動物由来の原料が生薬として用いられることがよくありました。

どちらも普段は目にしない材料ですが、江戸時代の日本では、もっと驚きの薬がありました。

なんと人体の一部が薬として売買されていたのです。

特に人気があったのは、人の胆嚢です。

切り傷や梅毒、肺病などの疾病に効果絶大として重宝されていたといいます。

罪人の死体から取り出した胆嚢や肝臓を原料に丸薬を製造し、巨利を得た薬店もあったようです。

土佐藩(現高知県)の史料 「土佐国古城伝承記」には、頭蓋骨を薬として食した男の話が載っています。

それによると、ある男が肉付きの頭蓋骨、つまり生首を味噌などで調理して7日間摂取した結果、衰弱しきっていた男は活力を取り戻したと伝えられます。

もちろん真偽のほどは定かではなく、現代から見れば非科学的な話です。

ただ、古くから人体を材料にして薬物を作る風習は洋の東西を問わず多く見られ、骨や髪、精液や経血なども薬として調合されたといいます。

その後、明治政府は1870年4月に肝臓や脳髄、陰茎など人体の一部の売買を禁止する布告を行います。

しかし、生き胆に薬効があるという伝承は根強く残り、1903年には6歳の子どもが殺され、密売目的で内臓が切り取られるという事件が起こっています。

参考 薬食としての人肉食

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