青い目の生徒はダメな子です。差別をする先生に影響された生徒
差別をする先生に影響された生徒の行動と、その真意とは
学校では、差別は悪いものだと教えられます。
少なくとも、差別をすべきだと教える教師はまずいないでしょう。
しかし、アメリカ・アイオワ州にある小学校の3年生の教室では、1968年に差別意識を助長する実験授業が行われていました。
授業を発案したのは、当時35歳の女性教員ジェーン・エリオットです。
実験授業の当日、エリオットは壇上で「今日から、青い目の生徒はダメな子です」と切り出します。
青い目の児童を「劣った人間」とし、一方、茶色い目の生徒を「優れた人間」に見立て、そのこと教室内に周知させたのです。
すると授業中、青い目の生徒が問題を間違えると、彼女は「ほらね、青い目の子はバカなのよ」差別発言を繰り返しました。
給食の順でも茶色い目の生徒を優先し、青い目の生徒にはおかわりを禁じるなど、待遇にも差を付るという徹底ぶりでした。
当然、青い目の生徒は理不尽な扱いにショックを受けましたが、特筆すべきは「特権階級」となった茶色い目の生徒の反応でした。
「差別宣告」からわずか数分後には、昨日まで仲良くしていた青い目の生徒に対し、憎悪の眼差しを投げかけ、罵倒するようになったのです。
その変貌の早さは、エリオットもぞっとするほどだったといいます。
実験2日後に生徒の立場を入れ替えると、今度は特権を失った茶色い目の子どもが泣き出すこともあったといいます。
なぜエリオットはこのような実験を行ったのでしょうか。
それは、子どもたちに差別の痛みを伝えるためです。
50年代から60年代のアメリカでは、有色人種への差別が非常に顕著でした。
1964年7月に人種や出身国による差別を禁止する 「公民権法」が成立するも、生徒を含め、人々の心に巣食う差別感情が一掃されたとはとても言えない状況でした。
そこで自分たちが差別されたらどんな感情を抱くかを、生徒たちに体験させたのです。
実験後、双方の生徒に被差別者となった日の感想を尋ねると、彼らは「牢屋に入った気分」 「鎖に繋がれたような気持ち」といった心境を吐露しました。
エリオットの授業は、差別される辛さへの理解を促すと同時に、「人はどれほど簡単に他人を差別してしまうか」を教えてくれる実験でもあったのです。
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