ハイパーサイメシアはどのように獲得され、機能するのか
極度の記憶力を持つ特殊な能力
ハイパーサイメシア(Hyperthymesia)の人々は、過去のあらゆる日付や詳細な情報を簡単に思い出すことができます。
つまり、一度経験したことを忘れることができないのです。
この能力を持つ人々は、日付や時間、天気、感情など、普通の人々が忘れてしまう細かな情報まで、極めて正確に思い出すことができます。
この能力は、認知神経科学者が「超自動的な時間旅行」と呼ぶように、記憶力に関する現在の理解を超越しています。
ハイパーサイメシアに該当さる人はまれであり、2010年にはアメリカの科学雑誌「ニューサイエンティスト」によって報じられました。
現在までに、数人のハイパーサイメシアの存在が科学的に認められています。
しかし、この能力がどのようにして獲得されるのか、またこの能力を持つ人々の脳がどのように機能するのかは、まだ完全には理解されていません。
また、一般的にハイパーサイメシアは、脳の海馬という領域と関連していると考えられています。
海馬は、長期記憶の形成や取り出しに重要な役割を果たしているため、この領域に何らかの異常があることが、ハイパーサイメシアの原因になる可能性があります。
しかし、この仮説についてはまだ研究が進んでおり、完全に証明されているわけではありません。
一見すると素晴らしい能力に見えますが、実際には日常生活にはあまり役立たないことが多いとされています。
たとえば、一般的にハイパーサイメシアを持つ人々は、過去の不快な出来事を思い出すことができるため、トラウマに苦しむことがあるとされています。
参考 Hyperthymesia: Definition, causes, and symptoms