人のように育てられた猿は、叱られるとキスをして謝るように

猿を我が子と同等に育てた科学者の末路

猿も人と同じ環境で育てれば、高い知能を持つのでは?

そんな仮説を立てたのが、アメリカの心理学者ウィンスロップ・ケロッグです。

仮説のきっかけになったのは、1920年代にインドで狼に育てられた少女が発見された事件だとされます。

ケロッグは少女が保護された後も四つん這いで歩き、言葉も話せないでいる様態から「人間の発達は幼少期の環境に左右される」と考えました。

しかし、乳児を獣に預ける実験など許されません。

そこで彼は逆の発想をします。

それが冒頭の仮説でした。

ケロッグは生後7ヶ月のチンパンジー、グアを引き取り10ヶ月の息子と同等に養育しました。

実際、食事の際はスプーンを、 排泄時にはおまるを使わせるなど、人間の子として扱ったのです。

その結果、グアは叱られたときはキスをして謝るなど「人間的」な行動を見せるようになりました。

しかし、実験は9ヶ月で打ち切られます。

その原因は、チンパンジーと同居したためか発育が遅れ、1歳半になっても3つしか言葉を話せなかったという、ケロッグの息子にあったとされます。

幸い息子の言語能力は回復するも、一方のグアは類人猿センターに送られてしまいます。

しかし、環境の変化に馴染めず、数ヶ月も立たない間に死亡しました。

参考 This Guy Simultaneously Raised a Chimp and a Baby in Exactly the Same

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