「保有するだけの核兵器」あり?なし?核抑止論の欠点とは

攻撃を受けにくいアメリカの地理

アメリカは南北をカナダとメキシコに挟まれているため、ランドパワーに思えがちですが、 東西を大西洋洋と太平洋に挟まれており、 両海に自由にアクセスできるシーパワーの国なのです。

ランドパワーの国々が海洋を超えてアメリカを攻めるのは困難です。

なので建国以来、イギリスとの戦争以外で他国から本土に攻めこまれたことはありません。

世界に600以上もの基地をもつアメリカは、海という天然の壁に守られ、 有利な場所にあったことで着々と力をつけていきました。

基地を自由に使えるアメリカは、世界の海を手に入れたといっても過言ではありません。

そんなアメリカも中東のトラブルで大弱り

1900年代半ばから終わりにかけて、アメリカとソ連は世界の二大勢力として対立していました。

表立った戦争には発展しなかったものの、周りの国々を巻きこんだこの緊張状態を冷戦と呼ぶのは有名です。

アメリカのライバル国であるロシア(かつてのソ連)や中国が自分たちより強くならないようにアジア、中東、ヨーロッパに基地をつくったのです。

基地からライバル国を監視し、目立った動きがあれば対処するという戦略をとってきました。

しかし、ロシアや中国を監視するために介入した中東の宗教や民族問題のトラブルには、むしろ巻きこまれたのも事実です。

同等の力を持つ同士では戦争にならない?

アメリカの戦略にバランス・オブ・パワーというものがあります。

これを日本語にすると勢力均衡となり、争う両者の力関係を同じに保つことで戦争を回避しようとする考え方です。

力が同じになると戦争に発展しそうにも思えますが、 現代の戦争には絶対に勝てる相手にしか攻撃をしかけない風潮があります。

なので力を同じくらいに保てば、 手を出したくても出せない状況になり、世界のバランスが保たれるだろう、という寸法です。

バランスが保たれていた冷戦時代のソ連とアメリカ

ソ連とアメリカが争った冷戦時代は、 両国が世界中の国を自分たちの陣営に入れることで力関係を同格に保ち、お互いが直接ぶつかり合う戦争には発展しませんでした。

『破壊力のある核兵器を世界の先進国が持っているから平和が保たれている』という核抑止論という考え方があります。

しかし、このせいで核兵器さえ持てば大国と対等になれると考える過激な国が出てきています。

バランス・オブ・パワーにも欠点があるのです。

また、片方が弱ったときにバランスが一気に崩れ、もう一方の勢力が強力になり過ぎてしまうという問題もあります。

こうなると、戦争を抑制するどころか、最強の座を争うむしろ過激な戦争に発展しやすくなります。

参考 U.S. Institutions - Balance of Power

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