針金で作られた母に育てられたサルは凄まじい勢いで自らを傷つけた

愛について探った「絶望の淵」実験

愛とは何か、そんな好奇心にとりつかれた心理学者がいます。

ウィスコンシン大学に勤めていたハリー・ハーロウです。

ハーロウは、生まれたばかりの子ザルを用いて、布製で笑顔の代理母と針金製でしかめ面の代理母、どちらになつくかを観察しました。

結果、 子ザルは布製の代理母になつきましたが、実験は悲劇的な結果を招きました。

実験台となった100匹のサルのうち、針金の母に育てられたサルは凄まじい勢いで自らを傷つけ、布の母で育てられたサルは不健康で無気力な状態になってしまったのです。

受け身の親からは、子どもは生きていくうえで大切なことを学べないのかもしれないと考えたハーロウが次に行ったのが、「モンスターマザー」による実験です。

子ザルを攻撃する代理母を4種類作り、観察を行いましたが、その結果、子ザルは社交性がまったくなくなってしまいました。

何度痛い目に遭っても親の注意を引こうと必死になったので、他のサルに気を向ける余裕がなくなり、孤立してしまったのです。

ハーロウは、この孤立した状態で育ったメスザルを無理やり受胎させて子ザルをどう育てるかまで観察していますが、執拗な実験はそれだけでは終わりませんでした。

脱出不能の逆三角形の装置に子ザルを入れて完全に孤独な環境に置き、愛を喪失させるという「絶望の淵」 実験に取り掛かったのです。

実験の結果、3、4日ですべてのサルが異常をきたしました。

それまでは社交的だったサルも、元の環境に戻っても仲間と交流することが難しくなりました。

1年隔離されたサルはただぼんやりとそこにいるだけで、もはや「生きている」とさえ呼べる状態ではなかったといいます。

愛を調べるためのはずが、残虐な結果を招いていたのです。

参考 Harry Harlow Monkey Experiments: Cloth Mother vs Wire Mother

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