『案ずるより産むが易し』が本当である理由
実際に起きてみると思ったほど嬉しくも悲しくもない原因
あなたはこれから近い将来、どんな失敗をすると思いますか?
あなたが学生なら、受験やテストや部活の試合を控えているかもしれません。
社会人なら、会社での昇進を狙っていたり、転職を考えている人もいることでしょう。
商売や投資に勤しんでいるなんて人もこの中にいるかも知れません。
人は何かに失敗したとき、それ以前に予想していた程は落ち込まないことが知られています。
この錯覚を行動経済学ではインパクトバイアスと呼びます。
日本に古来から存在する「杞憂」や『案ずるより産むが易し』といった格言は、この心理を示唆していると言えます。
- 会社をクビになる
- 受験に失敗する
- 恋人に振られる
それも事前に想像するととても耐え難いことのように感じられますが、実際は本人が思うほど長くは落ち込まないということです。
この心の修復作用を心理学的免疫システムと呼びます。
これは読んで字の如く、辛い経験に耐性ができ、今後同じことが起きてもさほどショックを受けないようになるということです。
人の脳に備わったとても頼もしい機能です。
使わずに怖気づいているのはもったいないですね。
しかし、逆の作用もあります。
先程の不幸の例をもう一度みてみましょう。
- 会社をクビになる
- 受験に失敗する
- 恋人に振られる
これらの逆の出来事を考えてみると、こうなります。
- 新しい会社に採用される
- 受験に合格する
- 恋愛が成就する
こういった幸せな出来事であっても、人の幸福感はさほど長続きせず、達成した瞬間の喜びも想像していたのものには劣ると言われています。
まさに『なんだ、手に入れてみるとこんなもんか』という、あの心理ですね。
そして、たった数日経つ頃には、もう次の新しい心配事が発生していたりします。
幸も不幸も短命なのです。
この錯覚を、そのまんま持続時間の無視と呼びます。
参照
How to be Happy When Everything Goes Wrong - James Clear