ランドパワーVSシーパワー!海と陸どちらを制する国が有利か?

陸の力で戦略を考える国々

地政学にはランドパワー国家という言葉があります。

その名の通り『陸の力の国』という意味で、広大なユーラシア大陸にあり、陸地を中心に経済や軍事を進める国のことを指します。

ランドパワー国家とは、150年ほど前、イギリス人の地理学者ハルフォード・ジョン・マッキンダーが考えた言葉です。

具体的には、主に、ロシア、中国、ドイツ、フランスなどが該当します。

ちなみに、日本ではこれらの国を大陸国家とも呼びます。

ランドパワー国家は陸軍が強くなる

ランドパワー国家の最大の特徴は、 自国と外国が陸続きで繋がっていることです。

例えば、ロシアはたくさんの国と接しています。

なので、自分たちの領土を広げようとしたり、資源や食料がなくなると、陸続きの国に攻め入って奪おうとします。

隣国は、そうした攻撃から自分の国を守らなくてはならないため、国境に軍隊を置く必要があります。

攻めるのも守るのも陸軍の力が必要不可欠なため、ランドパワーの国は陸軍が強くなります

また、経済も貿易も陸を使った行動が中心になるため鉄道や建物を造る力も高くなる傾向にあります。

陸上でのやりとりが中心なので、農業や鉱工業が得意になるのです。

いずれも、 海より陸地に注目した生活や文化で発展してきた経緯があるのです。

日本はシーパワーの国

ランドパワーの反対が、 シーパワーです。

アメリカ海軍の軍人で戦略研究者でもあるアルフレッド・セイヤー・マハンが考えたシーパワーとは『海の力』を意味し、ランドパワーとは逆に貿易や軍事を海から考える国のことを指します。

日本やイギリス、 アメリカなど、 海に浮かぶ島国や大きな海に挟まれいる国がシーパワーの国の特徴です。

海に囲まれている国は攻めにくい

シーパワーの特徴は、なんといっても海に囲まれていることです。

もし他国がシーパワーの国を侵略しようとしても、必ず船で海を越えなければなりません。

平地に比べ、 海をわたって侵略するのは難しく、 リスクが多くあるため、シーパワーの国は他国から攻めこまれる危険性が低くなります。

シーパワーの国々は、 経済や貿易でも、 漁業や船を使った海上貿易など、 海を中心とした生活を行っています。

なので、海での活動が制限されると非常に危険です。

そのため、シーパワーの国は周辺の海を守ったり、海外に基地をつくったりする必要が出てきます。

必然的に、シーパワーの国は陸軍よりも海軍が強くなっていきます。

また、広い海を守るため、他のシーパワー国と協力するのも特徴です。

世界の戦いは、ランドパワーとシーパワーの間で起きている

昔から大きな戦争は、ランドパワーとシーパワーの間で起こってきました。

ランドパワーで一番になった国がさらなる資源や領土を求めて海に出ようとすると、それをシーパワーの国が協力して防ごうとします。

そんな争いがずっとくり返されています。

昨今は中国が海への進出を目指しており、 アメリカや日本が防ぐ形になっています。

大航海時代にシーパワーの国が発展

ランドパワーとシーパワーは、時代により強さが分かれてきました。

造船の技術が未熟だった昔は陸を使って貿易を行ってたことから、陸に有利なランドパワーの国々が発展していました。

しかし、15世紀からヨーロッパで頑丈な船を造る技術が発達すると、海上の行き来が盛んになり始め、シーパワーの国が大きく発展しました。

クリストファー・コロンブスフェルディナンド・マゼランヴァスコ・ダ・ガマなどが活躍した15~17世紀にかけての時期を大航海時代と呼びます。

今日はシーパワーの時代!?

19世紀にロシアやドイツが鉄道の強化をしたことで、陸でも海上と同じような輸送が出来るようになり、 世界は再びランドパワー優勢に傾きました。

しかし第二次世界大戦後、超大国アメリカが世界の海を手に入れたことで、シーパワーの力が再加熱しました。

シーパワーとランドパワーの拮抗はこれからも変わっていくでしょう。

参考 8 Sea Power versus Land Power: Cross-Domain Deterrence in the ...

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