1馬力ってどれくらい?「馬力」という単位の複雑な背景

ともに「1馬力」の車と馬が力比べをするとどちらが勝つ?

腕っぷしや体力のある人のことを『馬力のある人だ』と表現します。

これは自動車や飛行機などのエンジンの強さを示す単位の「馬力」から生まれた言葉です。

最近ではあまり使われなくなりましたが、かつては「○○馬力のエンジン」といった表現がよく使われました。

しかし、馬力という単位が消えたわけではありません。

今日、エンジンの出力を示すのによく使われる「PS」という単位はドイツ語の 「Pferde-Stärke」の略であり、こちらも『馬の力』を意味します。

馬力というと日本の単位のように思われがちですが、実は国際的な単位なのです。

そもそも馬力という単位をつくったのは、蒸気機関の発明者として名高いスコットランド出身の技術者ジェームズ・ワットでした。

ワットは、1760年代から蒸気機関の開発に取り組み、1770年代に上下運動のできる機関、1780年代には回転運動のできる機関の商業生産化に成功しました。

彼のつくった蒸気による回転機関は、工場や製粉所に設置されましたが、その使用料を決めるにあたり、彼は機関の能力を馬と比較し、「HP(horse power)」という単位で表示したのです。

もちろん馬の力は個体によって違うので、1HPは馬1頭とほぼ等しい力とし、約746ワットに統一されています。

日本語の「馬力」はこの英語の 「horse power」 の訳語なわけですが、今日の日本で使用されているPSは「仏馬力」とか「メートル馬力」と呼ばれているもので、イギリス式のHPとは微妙に強さが違います。

ちなみに、イギリス式のHPは約735.5ワットとなっています。

車のカタログなどの『 ○○PS』という数値はこの基準に基づいて決まっており、何も馬と綱引きをさせているわけではありません。

1馬力のエンジンが1頭の馬と常に引き分けになるとはかぎらないのである。

参考 What does PS mean in terms of horsepower?

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