緊急地震速報が素早く震源地を教えてくれる理由
ビー!ビー!ビー!
近くで地震が起こると、物凄い音とともにスマホや携帯電話に緊急地震速報が届きます。
何度聞いてもびっくりしてしまうのは、それが緊急を知らせるために作られているからでしょう。
地震にはP波とS波という2種類の波があります。
P波は「Primary wave」のことで、『最初に来る波』を意味し、進行方向と同じ方向に揺れるものです。
S波は「Secondary wave」のことで、『続いて来る波』を意味し、地面を上下に揺らすものです。
なので地震のときには横揺れが最初に来て、後から縦揺れが来ます。
得てしてS波のほうが揺れが強く、より大きな被害をもたらします。
緊急地震速報では、最初にやってくるP波を検知することで、S波が来る前に『震源地がどこなのか』と『もうすぐ地震が来ること』を知らせてくれます。
いち早く地震を知らせるため、日本中に、海底にも、地震計がいくつも配置されています。
気象庁によると、2018年時点で4370ヵ所の観測点が活用されています。
速報では、まず、それぞれの観測点に設置されている地震計で、最初のP波による揺れを感知します。
地震計が揺れを感知する仕組みの基本は、振り子の原理です。
地面の上に置かれた地震計は、揺れがくると地面と一緒に揺れます。
そのときに動かない点をつくることができれば、揺れを記録することができます。
振り子は、糸の上端をもってゆっくり動かすと、下の重りも一緒についてきますが、素早く左右に動かすと、重りの重さで慣性の法則が働き、重りの部分はその場に留まろうとします。
その性質を利用したのが地震計なのです。
バネでつるされた重りにコイルを付け、そのまわりを磁石で囲みます。
地震により地面が素早く揺れると、重りは静止したまま地面に固定された磁石が動き、誘導電流が流れます。
そうして地面の揺れで直接電気信号に交換しているのです。
そのデータが気象庁に送られ、気象庁では、複数の観測点からのデータをもとに震源やマグニチュードなどを推測し、ある場所にいつ到達するかが一瞬で計算されます。
そうしてS波が到達する前に情報を知らせることができます。
最初に来るP波が伝わる速さは、秒速約7km、S波は約4kmとされます。
それに対し、情報を伝える電波や光の速さは秒速30万kmなので、その速度差によって地震の波よりも先に情報を伝えることができるのです。
参考 Japan's Earthquake Early Warning system