イワノフはチンパンジーの子宮に人の精液を注入した
猿と人間の交配をさせる半人半獣計画
ギリシャ神話などには、牛の頭に人の身体を持ったミノタウロスをはじめ、いわゆる半人半獣の生き物が多く登場します。
無論これらは空想上の動物ですが、実は現実の世界でも半人半獣の創造が試みられたことがあります。
それが、1927年に旧ソ連の生物学者イリヤ・イワノフが実施した猿と人の交配実験です。
実験が行われた背景には、ときの指導者ヨシフ・スターリンの「獣のように罪悪感なく敵を殺傷し、人間以上の力を持つ超人兵」を開発したいという意向があったともいわれます。
イワノフには資金が与えられ、実験はフランス領ギニア(現ギニア共和国)で行われました。
イワノフは自身が開発した人工授精用器具でメスチンパンジーの性器に人間の精液を注入しました。
しかし、何回挑戦しても妊娠の兆候は見られませんでした。
そこでイワノフは、今度はオスチンパンジーの精液を人間の女性に注ぐ計画を立てました。
被験者を募ったところ、なんと1人の女性が応じました。
しかし、イワノフの夢は結局叶いませんでした。
実験開始前に肝心のオスのチンパンジーが死んでしまったのです。
失敗続きのイワノフは政府に見放され、失意のうちにこの世を去りました。
そして、 その死とともに、前代未聞の交配実験も闇に葬られることになったのです。
参考 Ilya Ivanov: The Russian Scientist Who Tried To Create a 'Humanzee'