
中国はなぜ尖閣諸島を狙うのか?日本がしてきた対策
常に超大国に挟まれる日本
第二次世界大戦以降、日本は常に超大国に挟まれながら生き残ってきた国です。
超大国のアメリカとソ連が経済、政治、 技術、軍事、外交などのさまざまな分野で争った冷戦でも、日本はアメリカの重要な基地になっていました。
冷戦後、中国が経済的に急成長して超大国になり、 世界最強の座を狙ってアメリカに挑み始めたことで、日本は再び超大国に挟まれることになりました。
日本はアメリカの同盟国ですが、生活や経済は中国にも頼っています。
このような超大国が2つ同時に現れると、 互いに争い出すため対立する傾向にあります。
現在もアメリカと中国の争いは続いており、日本は同盟国であるアメリカの仲間として中国を警戒していますが、悩ましいのは日本にとって中国は最大の貿易相手国の1つということです。
日本の生活や経済に大きく中国が関わっているため、思いきった対策が取れずにいるのです。
過去最悪レベルで対立するアメリカと中国
ドナルド・トランプ元アメリカ大統領は、アメリカを脅かすほど強くなった中国の力を弱めようと貿易を制限したり、世界に中国の人権問題を訴えたりしました。
そのため、 アメリカと中国の関係は最悪と言ってもいいほど悪くなりました。
2021年に大統領になったジョー・バイデンは、『中国に対抗する』と明言しました。
超大国のアメリカと中国の動きをしっかり知ることが、日本にとってこれ以上ない大切な戦略なのです。
日本の土地を狙う中国
日本で暮らす中国人はたくさんいるため、 日本にとって中国は馴染み深い国の1つです。
しかし、実はあまり仲良くはありません。
その理由の1つに、中国が日本の領土を奪おうとしていることがあります。
中国は自分たちの領土を増やして影響力を強めるため、沖縄の尖閣諸島を自国の領土だと訴えたり、日本の領海内で『ここは自分たちの海だ』などと主張しています。
尖閣諸島の周りは資源や食べ物の宝庫
中国が沖縄の尖閣諸島を狙う理由は主に2つあります。
1つは、尖閣諸島の周りには食料になる魚や、 海底にはエネルギーになる石油、レアメタルと呼ばれる貴重な鉱物が豊富に眠っているとされているからです。
そんな貴重な海を狙う中国が、尖閣諸島を自分たちの領土にしようと企んでいるのです。
中国が海に出るもう1つの理由は、基地を造ることです。
現在の中国の目標は、太平洋に軍隊を配備し、太平洋の半分を支配することです。
そのためには、中国本土以外からの補給や軍隊を置いておく場所をつくる必要があるのです。
尖閣諸島や沖縄本島は、こういった中国の事情にうってつけの場所にあると言えるでしょう。
中国の勝手な行動に、日本も抗議をしたり、海上保安庁が取り締まっていますが、中国の動きは年々活発になってきています。
仲間とライバル国の動きを監視する日本
日本が敵視しているのが、 中国と北朝鮮、 そしてロシアの3つの国です。
特に中国は、太平洋へ進出するため日本の尖閣諸島を狙っています。
これを防ぐため2012年に安倍晋三元首相がセキュリティダイヤモンド構想という戦略を考えました。
これは日本、インド、オーストラリア、アメリカで連携し、 中国を監視しようとする戦略です。
この4つの国はQUAD(日米豪印戦略対話)と呼ばれており、地図上で4ヵ国を線で結ぶとダイヤモンドの形になることから、このように名付けられました。
中国に不安感を覚える仲間は増えている
そして2016年、再び安倍元首相が、 日本と同じように中国をライバル視している東南アジアの国々やフランス、イギリス、ドイツのヨーロッパの国と連携しました。
これらの国で協力し、太平洋だけでなくインド洋や南シナ海でも中国を監視する、自由で開かれたインド太平洋構想をつくったのです。
セキュリティダイヤモンドの4ヵ国に東南アジアの国を合わせると、 太平洋からインド洋まで広範囲に監視できます。
中国が行っている一帯一路構想に対抗するため、日本も世界と連携しているのです。
参考 Asia's Democratic Security Diamond by Abe Shinzō