ダニを入れられたロペズの耳は3週間後に死骸であふれ…
ダニを耳に入れてイグノーベル賞を受賞した科学者
イヌやネコなどが罹患する皮膚疾患の一つに耳ダニの感染があります。
耳ダニは耳ヒゼンダニとも呼ばれ、感染すると強い痒みや炎症などの症状を引き起こします。
基本的には動物の耳に生息すると考えられていました。
しかし1968年、人間にも耳ダニが感染するかを検証した人物がいました。
それがアメリカの獣医師ロバート・ロペズです。
ロペズは実験のため、何と自分の左耳にダニを入れたのです。
ロペズは「ダニが鼓膜へ近づくと、動き回る音が大きくなる」「午後11時にはダニの動きが活発化し、耳を掻いたり噛んだりする」など詳細に記述。
そして3週間後には外耳道がダニの死骸であふれ、左耳が聞こえなくなったといいます。
幸い、耳を水で洗い流すとダニは排出され、聴力も回復しました。
こうして、ロペズは耳ダニが人の耳でも生息可能なことを証明したわけですが、もう一つ思わぬ収穫がありました。
彼は同じ実験を3度行ったのですが、 そのたびにダニの活動が低下していったことを発見したのです。
この現象を、ロペズは耳の中でダニに対する免疫反応が起こったことが理由と推論としました。
まさに耳を覆いたくなる実験内容ですが、 ロペズは二度と再現すべきではない実験として、1994年に昆虫学のイグノーベル賞を授与されています。
参考 Ear mites and the strange pursuit of knowledge