
温暖化で氷が溶け北極海に生まれた新たな航路と資源をめぐり争う国々
世界有数のエネルギー大国ロシア
ロシアは石油や天然ガスの生産量が非常に多く、石油は世界3位、天然ガスは世界2位のエネルギー大国です。
ロシアで生産されたエネルギーは、ヨーロッパ各国にパイプラインで輸出していましたが、その道中にあるウクライナがこっそりガスを抜きとってしまった事件などが起き、ヨーロッパに安定してガスを送れなくなってしまいました。
ヨーロッパにガスが一切売れなくなることを恐れたロシアは、反対側の経済大国である日本に天然ガスを売ろうと考えました。
このロシアのアイデアは日本にとって朗報でした。
中東から船で石油を運ぶとコストがかさみますが、ロシアのシベリアや樺太(からふと)からだとパイプラインを使って直接ガスを送ることも可能です。
また距離も短く、間に他の国もないため邪魔されることがありません。
日本にとっても安定的にガスを買うことができるようになるため、まさにWin-Winの案です。
しかし両国は北方領土問題で揉めていたり、2022年のウクライナ侵略のイメージもあり、日本でのロシアへの信用は落ちていました。
こういった外交上の問題により、ロシアのアイデアはスムーズに進んでいません。
凍った北極海が溶け誕生した北極海航路
近年、北極海航路が注目されています。
ロシアは長らく、凍らない港を求めて温暖な南へ南へとアクセスしようとしてきました。
昨今は地球温暖化の影響で北極の氷が溶け出しています。
そのため、これまで凍りついていて通れなかった北極海に、船で進める道が開けたのです。
北極に多く面しているロシアにとってこの新たな海上ルートは他国に邪魔されずヨーロッパまで行ける革新的な道になります。
北極海は大きな海で、周辺にはアメリカ、カナダ、ロシア、デンマーク(グリーンランド)、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの8ヶ国があり、これらは北極圏と呼ばれます。
もともと北極海はどこの国のものでもありませんでしたが、北極海にあるルートや資源が見つかってからというもの、北極圏の国々が自分のものにしようと主張し始めたのです。
北極海にはたくさんのエネルギーが眠っておりて、地球上で見つかっていない石油の4分1が埋まっており、世界中のエネルギーが35年はまかなえる天然ガスがあるとされています。
この豊富な資源をめぐり、各国は開発を行っています。
特に一番大きく北極海に面しているロシアは、北極海に軍隊を置いています。
日本から見てもだらけの北極海ルート
北極海ルートが使えるようになると、日本にとっても良いことづくめです。
例えば北海道からオランダまで物資を運ぶ際、現在は南回りでスエズ運河を通って運んでいます。
その距離は約2万1000kmと長く、道中には危険な海賊もたくさんいます。
しかしひとたび北極海ルートが使えれば、その距離は1万3000kmと半分近い距離に抑えられ、海賊の心配もせずに進むことが出来ます。
早くく安全に進むことができれば、その分コストも安く済みます。
ロシアが北極海に眠る資源を手に出来れば、それらを日本に売ることも出来ます。
現在日本は、主にアメリカや中東から石油やガスを買っています。
どちらも距離が離れているため、日本に持ってくるには莫大な資金と時間がかかります。
しかし、同じものを隣国のロシアから買うことが出来れば、日本にとってメリットになることは間違いありません。
日露関係には、どうしても日米関係が深く干渉してしまいます。
アメリカと友好的な日本は、この板挟みを無視するわけにはいきません。
参考 Global warming will open unexpected new shipping routes in Arctic …