肩こり・腰痛への「てこの原理」を使った物理学的アドバイス
首や腰に想像以上にかかっている不要な「てこの原理」
肩こりや腰痛を抱えている人は思った以上に多くいます。
肩こりや腰痛がなぜ起こるのか、を医学の視点ではなく物理学の視点で紹介します。
まず、重心が体の中心からずれればずれるほど、体の重さを骨で支えられず、筋肉で支えることになり、余計な力がかかり、そのダメージにより腰痛は起こります。
例えば、人間の頭の重さは体重の1割程と言われています。
体重50kgの人であれば頭の重さは約5kg、体重70kgの人であれば約7kgです。
5kgと言えばボウリングの11ポンド玉と同じくらいで、7kgでは15ポンド玉と同じくらいの重さになります。
その重さが首まわりの筋肉で常に支えられています。
頭の重さは、頭の真ん中あたりにある重心にかかっています。
その重さを支えている首まわりの筋肉の力と重心にかかる頭の重さの間にはてこの原理が働きます。
てこの支点となるのは、第1頸椎と呼ばれる場所で、これは7つある首の骨のうち、いちばん上にある骨のことです。
普通に正面を向いているときにも、頭の重心は支点となる第1頸椎よりも前にあるので、頭部のてこでは、前に回転させようとする力が働きます。
それを、首まわりの筋肉が後ろに引っ張ることでバランスをとっているのです。
パソコンで作業をしているときやスマホを見るときなど、つい猫背になり、顔が前に出がちです。
そうすると、頭の重心はさらに支点から遠ざかり、前に回転させようとする力が大きくなるので、首まわりの筋肉もより大きな力を働かせなければバランスがとれなくなります。
そうして筋肉が疲労し、肩こりの原因をつくってしまいます。
それを避けるには、単純に頭の重心を支点に近づけるような姿勢をとればいい。
それが、よくいわれる、頭やあごを前に突き出さないということです。
つまりはシーソーと同じで、一方に体重の重たい大人が乗っていても支点からの距離が短ければ、反対側は体重の軽い子どもでもつり合うことになります。
頭の重さは変わらないため、重心の位置を意識すれば、首の筋肉にかかる負担をガクッと下げることが出来るのです。
参考 Biomechanics: Lever Systems in the Body