かつて変化球は全て「ボール」と見なされた?投球の驚きの歴史
四回のボールでバッターに一塁が与えられるようになるまでの苦難の歴史
野球では、ピッチャーがストライクゾーンをはずして投げると「ボール」と判定されます。
このボールが4回で「フォアボール」となり、バッターは一塁に進めます。
誰でも知っているルールですが、このフォアボールは野球が誕生した当初にはないルールでした。
1876年につくられたルールでは、ボールが3回で今でいうボールとコールされ、それが3回目でバッターは一塁に進めていました。
つまり、ボールが9回目になって、ようやく一塁が与えられたのです。
その代わりボールの内容は今日とは少し異なっていました。
ボールはもともと『アンフェア・ボール(不公平な球)』に由来します。
当時は、ピッチャーはバッターが打ちやすい球を投げるべきだという発想が強く、今日のボールにあたる投球だけでなく、変化球などの打ちにくい球も『不公平だ』と判断されたのです。
このように「ボール」となる範囲が今日より広かった上、投球技術も未熟だったため「ボール」に寛容で、8回までは仕方がないと考えられていたのでしょう。
それが、投球技術の向上などにより、1880年には、ボール8回で一塁に進めるようにルールが改められました。
さらに、1881年にはボール7回、1884年には6回、1886年には5回と、一塁が与えられるボールの数がしだいに減っていき、1889年にようやく今日のように、ボール4回で一塁に進めるようになったのです。
フォアボールの他にも、野球のルールは前項で述べたとおり古い時期には2点先取したほうが勝ちとされたり、いわゆる「三振」がなかったりなど、今日とはずいぶん違っていました。
それが試行錯誤の末、現在のようなルールになったのです。
参考 MLB Rule Changes | Baseball Almanac